蓄膿症・鼻茸

蓄膿(ちくのう)症・鼻茸

蓄膿(ちくのう)症・鼻茸

副鼻腔炎(蓄膿症)とは、鼻に鼻水に加えて、膿が鼻の鼻腔に溜まり、様々に身体に影響を及ぼすことです。
鼻の奥にある副鼻腔という空洞部分に膿がたまってしまった状態になるので、鼻が詰まるので息がしづらくなったり、不快な匂いがするなど、日常生活にも障害が出てきます。
滲出性中耳炎、急性中耳炎、気管支炎、頭痛症、嗅覚障害、いびき、睡眠時無呼吸症、口臭症など、いろんな疾患と関与しています。
最近では、副鼻腔気管支症候群(SBS)といった、咳嗽、喀痰、といった呼吸器症状および、膿性鼻汁などの副鼻腔炎症状を呈する症候群も増加しています。

蓄膿症にも前段階にある病気として急性副鼻腔炎があります。前者は、風邪などが主な原因になる一時的な炎症です。その炎症が長引いた(おおよそ2~3ヶ月)ものが慢性副鼻腔炎、すなわち蓄膿症です。
症状を見ると、かかったことのないぞと思う方もいるいかもしれませんが、20~60代の方のうち、実に約12%が蓄膿症にかかったことがあるという統計もあります。

蓄膿症のきっかけになる、副鼻腔炎には下記の3種類があります。治療法についても紹介します。

  • 急性副鼻腔炎
    風邪を引くと合わせて症状が出ることが多い病気で、アレルギー性鼻炎を持っているとかかることが多い症状です。ごくまれに、副鼻腔炎の炎症が目や脳に及び、視力の低下や意識障害の原因になることもあります。見過ごさず、できるだけ早く医者に見てもらうことをお勧めします。

    症状としては、鼻水、鼻づまり、頭痛、顔の痛み、頬の圧迫感、悪臭を感じる、咳や痰が出る、鼻水が黄色や緑色になる、嗅覚障害があります。

  • 慢性副鼻腔炎(蓄膿症)
    副鼻腔炎の症状が数ヶ月続き、副鼻腔炎が慢性化した状態です。蓄膿症とも呼ばれます。炎症が長引くことにより、副鼻腔に膿が溜まった状態のまますごすことになります。

    症状としては、鼻水、鼻づまり、頭痛、悪臭を感じる、咳や痰が出る、鼻水が黄色や緑色になる、嗅覚障害などがあります。

    ※基本的な症状は急性副鼻腔炎と似ていますが、顔やほほの痛みが見られないのが慢性副鼻腔炎の特徴です。

  • 小児性副鼻腔炎
    小児性副鼻腔炎とは、子供の蓄膿症のことを指します。小児性副鼻腔炎の症状としては、鼻がつまり、口呼吸になることによるいびきや注意力・記憶力が低下することがあります。
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また、ネブライザー(噴霧器)の治療は、薬液が直接患部に届くため、少ない薬の量で高い効果が期待できます。飲み薬をできるだけ使いたくない方や、眠気が強くなりやすい方は定期的な通院をお勧めいたします。

耳鼻科では、次の3点を中心に蓄膿症の治療を行います。

  • 鼻水の吸引・・・鼻と副鼻腔に溜まった鼻水を専用の器具で吸出し、きれいにします。
  • ネブライザー治療・・・ネブライザーという専用の吸入器で、鼻の炎症を抑える薬を霧状にして直接炎症部分に当てる治療方法です。
  • 内服薬の処方・・・細菌を抑える抗生剤や鼻の粘膜の炎症を抑える薬などを処方します。

これ以外にどうしても症状が良くならない場合は、外科手術を行う場合もあります。

最近の小児副鼻腔炎の治療としては、マクロライド抗生剤の少量長期内服により、抗炎症作用や、分泌抑制、活性酸素の生成抑制、サイトカインの分泌抑制、原因菌のバイオフイルムの形成阻害など、免疫力を高めて治療するのが一般的となってきました。

小児副鼻腔炎に対するマクロライド療法のガイドラインも徐々に整ってきており、当院も、ガイドラインに沿った治療を心がけています。

『小児副鼻腔炎に対するマクロライド療法のガイドライン』より一部抜粋

  1. 適応症例:原則3歳以上、膿性・粘液性鼻漏を認め罹病期間が比較的長い。
  2. 投与薬は14員環マクロライド系抗生物質(クラリスロマイシン)。
  3. 投与量は常用量の1/2から1/4の少量内服とする。
  4. 投与期間:約8週間で有効性を認めなければ投与を終了とする。(当院では有効性が認められれば4週間ほどの内服期間でも効果的治療と考えております。)
  5. 急性増悪時には適切な抗生剤に切り替える。

大人の慢性副鼻腔炎も同じように、少量のマクロライド系抗生物質の長期内服治療が一般的になってきました。大人の場合、内服期間は子供より長く内服する必要があります。また、大きな鼻茸などができてしまった場合などは手術治療をお勧めしています。

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